イタリアのGDPなど(2021年11月)

イタリアのGDPに関連したデータをまとめてみた。

1. 名目GDP(国内総生産)

まずはアメリカ、EU、中国、日本の1970年以降のGDP推移を比較してみる。世界銀行のデータによると下の図のように推移している。右端の順位は米欧中日の順。中国の急激な成長、日本の「失われた30年」が視覚的に確認できる。EUはリーマンショック後に成長が止まっている。

EU上位4カ国のGDP推移は下の図のようである。4カ国の推移は類似しており、近年はいずれも低成長である。特にイタリアはの低成長に苦しんでいる。

2020年のイタリアの名目GDPは、1兆8864億ドルで、世界第8位の規模。2019年に比べ5.91%減少した。2017年にブラジルに抜かれてランクを一つ落としたが2018年には抜き返している(世銀)。

イタリアは1990年代初頭にフランスに接近し欧州2位を伺う勢いだったものの、その後は両者の差は広がっている。EU内の上位4カ国はドイツ、フランス、イタリア、スペイン(英はEU離脱)。グラフが示すように4カ国の経済規模はほぼ等間隔に離れており順位の変動は当分なさそう。

2020年のイタリアのGDPはEU27カ国全体の12.35%を占めている(欧州委員会データから算出)。10%を超えるのは上位3カ国のみであり、欧州においてイタリアは経済大国のひとつといえる。
 

2.一人あたりの名目GDP

2020年のイタリアの国民一人あたりの名目GDPは31676.2ドル(世銀)。イタリアの一人あたりGDPは、2000年代前半に独仏のレベルに接近したが、リーマンショック以降は逆に差が広がり、2020年にはドイツに14,000ドル以上の差を付けられている。


 

3.実質GDP成長率

2020年の実質経済成長率は-8.9% (欧州委員会)。2012年と2013年に二年連続してマイナス成長を記録したあとも低成長が続いていたイタリア経済をコロナ禍が直撃した。

欧州委員会の「2021年秋の経済見通し」によれば、21年のイタリア経済は6.2%成長する見込み。また、22年(4.3%)、23年(2.3%)も比較的高い成長が予想されている。


 

4.労働時間当たりのGDP

最後は労働時間当たりのGDP。OECDが提供している労働時間当たりのGDP(米ドル)のデータをダウンロードしてグラフにすると下のようになった。

このデータに基づけば、イタリアの労働生産性は近年は伸び悩んでいるものの、かつては米独と互角のレベルにあった。深刻なのは日本。日本は歴史的に労働生産性が低い。

 
統計参考サイト
世界銀行 http://data.worldbank.org/indicator
欧州委員会 http://ec.europa.eu/eurostat
OECD https://www.oecd.org

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