イタリアから日本への個人輸入 関税はいくらか

イタリアから通信販売でブランド品を購入したい、とお考えになったことのある方は多いと思います。しかし、気になるのは関税。そこで、実際いくら関税がかかるのか調べてみました。

今回は特に衣類と革製品を中心に話しを進めます。

目次
1. 関税の計算方法とおもな商品の税率
2. 日・EU 経済連携協定で関税はどうなるか

1. 関税の計算方法とおもな商品の税率

関税とは輸入品に課される税」(by 税関)。外国で購入した物を自分で持ち込んだり、自分宛に送ってもらう場合に支払う義務が生じます。

そして、税額は一般的に商品の課税価格税率をかけて計算します。

つまり、この二つさえはっきりすれば、あらかじめ関税額を予想することが可能になります。ここでは、宅配便や郵便小包で輸入する場合に限って述べます。

海外旅行者の免税範囲はこちら⇒税関

課税価格とは

課税価格は、基本的にSIF価格(商品価格+保険料+運賃)とされています。

ただし、この商品価格というのは、いわゆる卸取引価格のことなので、個人的な使用を目的に海外小売価格で購入したものを輸入する場合、簡易な方法で卸価格を算出します。具体的には購入価格に0.6を掛けます。また、「保険料+運賃」はとりあえず無視して構いません。

その前に、イタリアの場合、ユーロですのでまず円に換算する必要があります。

換算に用いる外国為替レートは「輸入申告の日の属する週の前々週の、実勢外国為替相場の当該週間の平均値」とされており、税関のページに公示されています(⇒税関)。作業が繁雑になりすぎないように、一週間ごとにレートを固定してるわけですね。

ちなみに、2019年5月5日から11日までのレートは1ユーロ125.37円です。このレートをかけて購入価格を算出します。そして、購入価格に0.6を掛けたものが課税価格になります。

購入価格(ユーロ) × 為替レート ×  0.6  = 課税価格

 

課税価格1万円以下は免税

この課税価格が1万円以下であれば関税は免除となります(by 税関)。小包の箱の中に複数の品物が入っている場合は、それらの課税価格の合計となります。

上の式を下のような方程式にすると、非課税の上限額がわかります。

P (ユーロ)  ×  125.27 ×  0.6  = 10,000
P = 133.05

5月~11日のレートでは現地小売価格約133ユーロまでが非課税になります。ブランド品を送りたい場合は、単品でも非課税は難しそうです。

一つの小包にまとめると非課税の限度を超えるからという理由で複数の箱に分散させても、「同一差出人から同一名宛人に、同一時期に分散して郵送されたもの」であれば税関の方でひとつにまとめて課税します(⇒税関カッコ2但し書き)。
 

そもそも非課税にならない商品

我が国の産業に対する影響その他の事情を勘案して、特に定められた物品」についてはこの1万円以下免税ルールが適用されません。具体的には、「 革製のバッグ、パンスト・タイツ、手袋・履物、スキー靴、ニット製衣類など」。なんだか、イタリアが得意な物ばかりです。

革製品や革靴を郵便や宅配便で送る場合、1万円以下の免税ルールが適用されないので、購入価格に関わらず関税がかかります。また、税率も高めなので注意が必要です。

ただし、これにはさらに例外があって、「個人的な使用に供されるギフトとして居住者に贈られたものである場合」は、革製品などであってもこの1万円以下免税ルールが適用されます(by 税関)。
 

課税価格20万円以下は簡易税率を適用

一般貨物または郵便小包を利用した場合で、課税価格の合計額が20万円以下の場合」、簡易税率が適用されます。

一般税率が何千という品目別に詳細に設定されてあるのに対し、簡易税率はたったの7区分なので、税関の作業もぐっと簡素になります。

5月5日~11日までのレートなら、合計で現地小売価格約2660ユーロまでが簡易税率の対象になります。

P (ユーロ)  ×  125.27 ×  0.6  = 200,000
P = 2660.92

 

(出典:税関)

上記の表に含まれないものは一般税率が適用されます。例として以下のものが挙げられています。

一般税率が適用されるもの(例)

  • 米などの穀物とその調製品
  • ミルク、クリームなどとその調整品
  • ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品
  • たばこ、精製塩
  • 旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
  • ニット製衣類
  • 履物
  • 身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)

革製品や履物はこの20万円ルールからも排除されています。

上記の表をみてわかりにくい点をいくつか明確にしておきます。

まず、毛皮のコートは2の毛皮製品なのか、それとも4の衣類に含まれるのか。答えは2で税率は20%(一般税率も同じ)。

次に、メリヤス編みとかクロセ編みとは何のことか。

調べてみるとメリヤス編みとはニット(編み物)のことで、メリヤスという言葉は江戸初期に入ってきたスペイン語medias、ポルトガル語のmeiasがなまったものらしいです。ということは、イタリア語のmaglia(マイヤ)とも遠縁ということになります。

次にクロセ編みですが、これはフランス語のクロシェ(crochet)から。かぎ針編みのこと。

クロセ編みはちょっとレアだと思いますが、メリヤス編みの方は一般的なニット製品を指しているので範囲はとても広くなります。

このメリヤス編みとクロセ編みの衣類・衣類付属品には一般税率を適用し、それ以外の一般的な織布を使用した衣類には、簡易税率を適用します。

希望すれば一般税率を適用してもらうこともできます。

 

おもな商品の一般関税率の目安

税関のサイトに「主な商品の関税率の目安」という表が掲載されています(⇒税関)。以下はその一部です。簡易税率と違って税率に幅があるのは、形状や素材によって細かく税率が規定されているからです。

「〇類」という数字表記はHSコードという国際的な品目番号です(⇒実行関税率表)。なお、上記の税率は、品目によっては法定税率よりも低いWTO協定税率です。

ココまでが一般論になります。次にヨーロッパと日本との間に結ばれた経済連携協定の結果、関税がどうなるのか書きます。

 

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