欧州議会選挙2019 イタリア目線

3. 注目ポイントと予想

昨年6月のコンテ政権成立から約1年が経過した。この1年間の政治に対し国民がどのような審判を下すか注目される。

昨年3月の総選挙では五つ星運動が大勝し、はじめて政権を担うことが期待されたが、単独では過半数を占めることができないため連立のパートナーを探した。そこで選ばれたのがサルヴィーニ氏率いる同盟だった。対等な連立とはいえ、議員数では五つ星運動が圧倒的に上回っている。

ところが、政権成立後、サルヴィーニ氏と同盟の人気は上昇を続け、両者の支持率は逆転した。厳格な移民対策やEUに対する毅然とした態度が支持されているようだ。

今年4月の世論調査でも、同盟(31.4%)の支持率は五つ星運動(21.5%)のそれを大きく上回っている。

出典:Elezioni Europee 2019: sondaggi e proiezioni (Panorama.it)

この逆転現象が投票結果にそのまま反映するのか注目したいところ。もとは北部の地域政党に過ぎなかった同盟が全国規模で最多得票を得るようなことがあれば、ひとつのエポックメイキングな出来事となる。

左翼勢力では、存在感が失われつつあった民主党が、ジンガレッティ新党首の就任をきっかけにどの程度巻き返すか。

もう一つ、忘れてはならないのはベルルスコーニ氏の復活だ。2013年に上院議員の資格を失って以降、はじめての出馬となる。現在82歳。健康面も万全ではないようである。失った求心力をどこまで取り戻せるか。

EU全体の争点としては、近年勢いのあるEU懐疑派、国家主権重視派が実際に議席を増やすのか、それとも欧州主義派が巻き返すのかが注目される。

参考文献:
F. Basso, L’EUROPA IN 80 DOMANDE, Corriera della Sera, 2019.
辰巳浅嗣編著『EU』第3版、創元社、2012。

 

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