イタリアから日本への個人輸入 関税はいくらか

2. 日・EU 経済連携協定で関税はどうなるか

2019年2月1日、イタリアが加盟しているEUと日本との間で経済連携協定(Economic Partnership Agreement, EPA)が発効しました。最近ですね。今後、この合意にしたがって、様々な品目の関税率が段階的に引き下げられます。

EU産品を日本に輸入する場合に限って述べると、

〇化学工業製品、繊維・繊維製品  ⇒ 関税即時撤廃

〇皮革・履物(現行最高税率30%) ⇒ 11年目または16年目に撤廃

皮革製のものを除く衣類は早くも2019年4月1日以降、すべての品目(61類、62類のすべて)で関税が撤廃されました。これまで重要だったメリヤス編みとかクロセ編みの意味にこだわる必要はなくなりました。

一方、手厚く保護されている革製品は即時撤廃とはいきませんでした。それでも、多くの品目ですでにWTO協定の税率よりも低く設定されており、さらに撤廃に向けて段階的に引き下げられていく予定です。

2019年4月1日現在でのおもな皮革および毛皮製品のEUから日本に輸入した場合の関税率は以下の通りです(カッコの中はWTO協定関税率)。

〇外面が革製の携帯用化粧道具入れ
– 貴金属・貴石などを使用したもの     13.10% (16%)
– その他のもの                                      8.20% (10%)

〇外面が革製のハンドバッグ
– 貴金属・貴石などを使用したもの     11.50% (14%)
– その他のもの                                        6.50% (8%)

〇革製の財布
– 貴金属・貴石などを使用したもの     11.50% (14%)
– その他のもの                                       6.50% (8%)

貴金属・貴石などを使用した財布といわれてもぴんときませんが、例えばこういうのでしょうか。グッチの革財布にくっついた蜂に真珠がちりばめてあります。

次に履物、とくに革靴の税率を見てみます。

革靴は関税割当制度の対象です。

関税割当制度とは、一定の輸入数量の枠内に限り無税または低い税率(一次税率)を適用し、一定輸入数量を超えた分について高い税率(二次税率)を適用する制度。割当枠を得るためには経済産業省に申請を行う必要があります。

個人輸入で割当枠を得るケースはなさそうなので、高い方の税率になってしまいます。

WTO協定税率では、その高い方の税率は「30%又は4,300円/足のうちいずれか高い税率」と規定されています。前述の課税価格1万円以下免税ルールも適用されないため、課税価格がいくらでも必ず最低でも4300円の関税がかかる仕組みです。

安い輸入革靴が国内に出回らないようがっちりガードされています。

ところが、日・EU EPAによりこの最低4300円ルールも撤廃され、4月1日時点では17.0 ~19.6%の特恵税率が適用されています。

原産地証明手続

EPAの恩恵である特恵税率の適用を受けるには、輸入する商品がEU内で生産されたものであることを証明する必要があります。

その手続として、日・EU EPAにおいては自己申告制度が採用されています。

従来必要とされた第三者機関が発行する原産地証明(Certificato di origine delle merci)という証明書をわざわざ取得しなくても手続が可能になっています。

具体的には原産品申告書という自己申告書を作成して、輸入申告をするときに税関に提出します。この原産品申告書を作成するのは、輸出者、生産者または輸入者のうちのいずれかです。

輸出者または生産者 が作成する場合は「原産地に関する申告」(dichiarazione di origine)、輸入者 が作成する場合は 「輸入者の知識」(conoscenza dell’importatore)という名称の申告書になります。

(参考:EPA Unione Europea-Giappone: registrazione tramite REX)

書式などさらに詳しい情報については以下のPDFを参照してください。
TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA 原産地規則について【実務編】 東京税関、2019年2月

課税価格が合計で20万円以下の場合、この原産品申告書の提出省略が認められます。

ただし、原産品申告書等の提出を省略できる場合でも、税関の求めに応じ、その原産性を説明できることが必要になります。

ところで、郵便小包の中身の課税価格が20万円を超えた場合、荷物を受け取る手続が変わってきます。

20万円以下の場合、特別な手続をしなくても郵便局が荷物を通関させ、発生した関税は配達時に支払います。

一方、20万円を超える場合、受取人または受取人が委任した業者が税関に対して輸入申告し、輸入許可が下りた後、はじめて小包を受け取ることができます。

個人輸入を行うときは、課税価格20万円ラインがひとつの大きな留意点となりそうです。

詳しくは⇒ 郵便局:海外からの郵便物を受け取る

以上です。

今回は関税とあわせて支払う消費税への言及は省略しました。

ハムやソーセージなど食べ物の輸入に関しては、話しがより複雑になるので、また別の機会にまとめたいと思います。

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