イタリア議会が解散総選挙 選挙制度まとめ

昨年(2017年)12月28日、にマッタレッラ大統領は議会を解散する大統領令に署名し、上下両院は解散しました。上下両院の全議席の選挙を同時に行います。

総選挙の投票日は3月4日、次の議会招集日は3月23日と発表されましたので、2ヶ月間という長期間にわたって選挙キャンペーンが繰り広げられることになります。

この機会に選挙制度のポイントをまとめます。

参考ページ:
http://www.interno.gov.it/it/notizie/elezioni-politiche-voto-4-marzo
http://www.gazzettaufficiale.it/eli/id/2017/12/29/17G00228/SG(大統領令)

10月に選挙法を改正

今回の議会解散に先立って、昨年(2017年)10月に選挙法が改正されました。今回の選挙は新しい選挙制度による最初の総選挙となります。

 

小選挙区比例代表並立制

小選挙区制と比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並立制です。

●下院の定数は小選挙区232、比例区386、海外12の合計630
●上院の定数は小選挙区116、比例区193、海外6の合計315

小選挙区では最多得票を獲得した候補者1名が当選します。定員と区割りは以下のようです。下院の232の選挙区は、旧選挙法の上院の232選挙区をほぼそのまま流用しています。

(表1)下院の州ごとの定数(選挙区 – 小選挙区定数 – 比例区定数 – 定数合計)出典:http://documenti.camera.it

 

(表2)上院の州ごとの定数(選挙区 – 小選挙区定数 – 比例区定数 – 定数合計)出典:http://documenti.camera.it

 

(図1)下院の小選挙区マップ(暫定)

 

(図2)上院小選挙区マップ(暫定)

 

比例ブロック

比例区のブロックは小選挙区をいくつか合併したものになります。一つの比例ブロックの定数は下院が3以上8以下、上院が2以上8以下で、地理的にそれほど大きなブロックではありません。例えば、ロンバルディア州には、下院9、上院6の比例ブロックが設けられます。一方、ウンブリア州やバジリカータ州のように人口の少ない州では、州全体が一つの比例ブロックになります。

 

投票は政党を選ぶだけ

投票用紙は以下のような様式になります。レイアウトは上下院共通です。

(図3)下院投票用紙様式

出典:http://www.normattiva.it

白い各ブロックのいちばん上の行に小選挙区候補者の氏名が記載されます。その下にその候補者が所属する政党のシンボル(円の部分)、そしてその横に比例区候補者名簿(2人以上4人以下)が番号付きで記載されます。複数政党が連合を組む場合、小選挙区候補者の下にはその連合に参加する政党のシンボルが並びます。例えば、上の図3の右列上から2番目の候補者は6党連合の統一候補です。

投票は、いずれかの政党シンボルに一カ所×印を付けるだけで有効となります。それだけで小選挙区はそのシンボルの上に記載されている候補者、比例区はその政党に投票したことになります。

シンボルではなく氏名に×印をすることもできます。その場合、小選挙区は印を付けた候補に、比例区はその所属政党にカウントされます(政党連合の場合、各党の小選挙区候補得票率にあわせて比例配分)。

比例区選挙は拘束名簿式です。比例区ごとの名簿は2人以上4人以下、男女交互にすることが規定されています。また各党および政党連合の候補者全体で、男女どちらかの割合が60%を超えてはいけません(下院は全国、上院は州ごとに60%)。この60%ルールは、各党または政党連合の小選挙区候補者の合計数にも適用されます。

複数の小選挙区で立候補することはできませんが、小選挙区と比例区の両方で立候補することはできます。したがって、小選挙区で敗れも比例区で復活当選を果たすことが可能です。また、5つまでの比例区に重複して立候補することもできます。

 

阻止条項(法定得票)

比例区で議席を得るには、所定の得票率を超える必要があります(上下院共通)。

まず、全国レベルで得票率が1%に満たない政党および政党連合の得票は、集計において無視されます(※)。そのうえで、全国レベルで得票率が3%(約35万票)を下回った政党、および10%を下回った政党連合には比例区の議席が与えられません(小選挙区で勝利した議員には影響しません)。

※少数言語地区の特例あり。

(了)

参考ページ:
www.ansa.it/sito/notizie/politica/2017/09/21/legge-elettorale-labc-del-rosatellum-2.0_cc2dca71-52c7-4e8f-850a-00af81d6e92a.html
http://www.repubblica.it/politica/2017/09/22/news/rosatellum_bis_scheda-176193741/
http://www.youtrend.it/2017/11/26/tutti-numeri-dei-nuovi-collegi/
http://www.camera.it/leg17/465?tema=riforma_elettorale
http://www.today.it/politica/elezioni/politiche-2018/come-votare.html

選挙区マップ出典:
http://www.youtrend.it/2017/11/26/rosatellum-le-mappe-dei-nuovi-collegi-uninominali/

関連法令:
下院選挙法(1957年大統領令第361号)
上院選挙法(1993年委任政令第533号)
今回の選挙制度改正法(2017年法律第165号)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です