2018年8月14日、ジェノバの幹線道路の一部をなす高架橋、通称「モランディ橋」が突然崩落し、40人以上が犠牲になる事故が発生しました。国際的に大きく取り上げられたこの痛ましい大事故について、これまでにわかったことを簡単にまとめます。
事故の状況
事故が発生したのは8月14日の午前11時から12時の間。強い雨が降り続く中、高速道路の高架橋の一部が突然崩落し、通行中の多くの車両が事故に巻き込まれました。
事故前の写真(上)に写っている3基の塔のうち、一番手前の塔が事故により完全に崩壊しています。
塔と塔の前後約200mの区間の道路が崩落しました。
20日までに確認された犠牲者の数は43人に上ります。
ジェノバ市内を東西に走る高速道路A10号線が、北から南に流れるポルチェヴェーラ川とそれに平行して敷設されている鉄道施設をまたぐポイントが事故現場。
出典:Il Messaggero紙面(8月15日)
一部崩落したモランディ橋とは
リッカルド・モランディ氏設計の通称モランディ橋は、1963年から1967年までの間にイタリア水道公社により建設され、1967年には当時のサラガト大統領が臨席して華やかに開通式が行われました(1)。
出典: www.lastampa.it
橋の全長は1182m、塔の高さは90m、路面の高さは地面から45m、最大スパンは210m。塔から伸び橋桁を支える支持部材の中身は鋼製ケーブルで、それをコンクリートで覆っています(2)。
橋が落ちた原因は?
橋が崩落した原因については現在調査中で、はっきりしたことはわかっていません。
2016年に鉄筋コンクリート建築の専門家アントニオ・ブレンチク技師は、この橋について、「コンクリートの粘性の計算を誤ったため建設当初から問題を抱えており、そのために路面が水平にならない」と指摘していました(1)。
フェラッツァ運輸省調査委員会委員長は、橋は最初にねじれ、次に崩落したと述べました(3)。
事故の責任を問われる高速道路管理者
事故発生後、非難の矛先が向いたのは橋を含む高速道路を管理している民間企業アウトストラダーデ・ペル・リターリアでした。同社は国際的なインフラ管理企業のアトランティア社の100%子会社。
アトランティア・グループは、イタリア、ブラジルなどで合計約5000kmの有料道路を管理しています。また、2013年からはローマのフィウミチーノ空港およびチャンピーノ空港も同グループが管理しています(4)。
アパレルで有名なベネトン家は持ち株会社を通じてアトランティア社の株式を30.25%保有しています(5)。今回、非難がベネトンにまで及んだのはそのせいです。
事故後、国からアウトストラダーデ・ペル・リターリアへの管理業務委託を失効させる手続が開始されました。予定されている委託期間は2043年までで、失効となると管理会社側にとって大きな痛手となります。まだ最終決定には至っていないようです。
高速道路の管理業務を民間に任せるべきなのか議論が起きており、サルヴィーニ内相はその国営化に言及しました(6)。
〔情報源〕
(1)Ponte progettato dall’ingegnere Riccardo Morandi…
(2)Ponte Morandi a Genova, una tragedia annunciata?
(3)Crollo Genova: “Il ponte si e storto, poi e caduto”
(4)http://www.atlantia.it/it/il-gruppo
(5)http://www.atlantia.it/it/il-gruppo/azionariato
(6)Salvini: studiamo la nazionalizzazione di Autostrade.
(了)