今年も、2月9日から13日までの日程で、イタリアのポピュラー音楽の祭典、サンレモ音楽祭が開催されます。おもな情報をまとめてみました。
サンレモ音楽祭とは
サンレモ音楽祭は、今も昔もイタリアの歌謡曲「カンツォーネ」の新作コンテストとして実施されています。1951年の第1回フェスティバルでは、応募のあった240曲の中から選ばれた20曲を3人のプロ歌手が歌い、会場の聴衆の投票で優勝曲を決めるというスタイルでした。
参考:http://www.repubblica.it/online/musica/sanremo/storia/storia.html
第8回(1958年)では、名曲「ヴォラーレ」が優勝。
第66回の今回も、新作として応募があった曲の中から大賞候補曲を選抜するという形式は変わりません。新作とは、売り出す前の作品という意味です。したがって、日本のレコード大賞のように、すでに商業的に流通し、ヒットしている曲の中から候補曲を選ぶというスタイルとは異なります。応募できる曲は、イタリア語のものに限られます。
参考:http://www.sanremo.rai.it/
歴代入賞曲が聴けるサイト:
http://www.sorrisi.com/musica/festival-di-sanremo-vincitori-1951-2013/
国営放送RAIが運営
現在、サンレモ音楽祭は、サンレモ市から委託を受けた国営放送RAIが運営しています。RAIは、音楽祭の全日程をテレビ放送します。前回、2015年のサンレモ音楽祭の視聴者数は約1000万人以上(前年比+23.5%)、チャンネル占有率は49%にのぼったとのこと。国民の注目度は、日本の紅白歌合戦と同等と言ってよさそうです。
参考:http://www.italiacreativa.eu/settore/scarica-lo-studio/
期間中、20組の大賞候補(Sezione Campioni)と8組の新人賞候補(Nuove proposte)が、賞の獲得を目指し、会場のサンレモ・アリストン劇場で生演奏を披露します。
候補者の選抜は、審査委員会が行います。大賞候補が応募者の中から直接選ばれるのに対し、新人賞候補は、前年に行われる二つの関連イベントの入賞者の中から選ばれます。
今年の日程
第1夜 大賞部門10組によるオリジナル曲演奏。
第2夜 大賞部門の残り10組の演奏。新人部門(対戦方式)4組の演奏。
第3夜 大賞部門20組のカバー曲演奏、新人部門残り4組の演奏。
第4夜 大賞部門20組がオリジナル曲を再度演奏。ここで5曲脱落。
新人部門の勝ち残り4組による準決勝、および決勝。新人賞決定。
第5夜 敗者復活1曲を含む大賞部門16曲の演奏。大賞決定。
毎夜、視聴者投票(電話、アプリ)、審査員投票が行われ、勝者または上位を決定していきます。第5夜の大賞決定戦は、それまでの投票結果が反映されない、ゼロからの勝負になります。
参考:http://www.sanremo.rai.it/
今年の大賞候補曲
“Via da qui” – Giovanni Caccamo e Deborah Iurato
“La borsa di una donna” – Noemi
“Noi siamo infinito” – Alessio Bernabei
“Il primo amore non si scorda mai” – Enrico Ruggeri
“Guardando il cielo” – Arisa
“Wake Up” – Rocco Hunt
“Mezzo respiro” – Dear Jack
“Un giorno mi dirai” – Stadio
“Infinite volte” – Lorenzo Fragola
“Il diluvio universale” – Annalisa
“Blu” – Irene Fornaciari
“Sogni e nostalgia” – Neffa
“Di me e di te” – Zero Assoluto
“Ora o mai piu (le cose cambiano)” – Dolcenera
“Quando sono lontano” – Clementino
“Cieli immensi” – Patty Pravo
“Finalmente piove” – Valerio Scanu
“Semplicemente” – Bluvertigo
“Nessun grado di separazione” – Francesca Michielin
“Vincere l’odio” – Elio e le Storie Tese
http://www.sorrisi.com/musica/sanremo/
コンテスト参加曲の歌詞は、ネット上に公開されています。
http://www.sorrisi.com/musica/sanremo/sanremo-2016-tutti-testi-delle-canzoni/
イタリアの音楽産業の規模
ちなみにイタリアの音楽産業の規模はどのくらいなのでしょうか。
日本の資料によると、2014年のイタリアの音楽売上は世界10位の235.2百万ドルで、日本の10分の1程度の規模にとどまっています。ただし、収入全体に対する有料音楽配信の割合では、イタリア(33%)が、日本(17%)を上回っています。
参考:http://www.riaj.or.jp/f/pdf/
イタリア国内の資料によれば、音楽配信ビジネスは順調に伸びています。2012年から2014年までの間に、パッケージ売上が193百万ユーロから168百万ユーロに縮小したのに対し、音楽配信売上は87百万ユーロから145百万ユーロに増加しています。
出典:http://www.italiacreativa.eu/settore/scarica-lo-studio/
2014年の音楽配信売上(145百万ユーロ)の内訳は、購読サービスが45%、スポンサー収入が24%、ダウンロード販売が29%でした。
出典:http://www.italiacreativa.eu/settore/scarica-lo-studio/
2015年の1-9月期
2015年1月から9月までの9ヶ月間のパッケージと音楽配信の売上合計は、前年比+24%と、なぜか絶好調のようです。
下の表はその9ヶ月間のジャンル別売上です。「国内」の伸びが非常に大きくなっています。
[su_table]
単位:千ユーロ | 2015年1-9 | 2014年1-9 | 増減(金額) | 増減(%) |
---|---|---|---|---|
国内 | 22,813 | 12,714 | 10,099 | 79% |
インターナショナル | 17,768 | 17,582 | 186 | 1% |
マルチアーティスト | 4,223 | 5,414 | -1,192 | -22% |
クラシック | 5,316 | 4,680 | 636 | 14% |
合計 | 50,120 | 40,391 | 9,729 | 24% |
出典:http://www.fimi.it/
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