Sagra(サグラ)

イタリアの話題まとめサイト

2016年12月の国民投票の結果

投稿:2017年03月25日 | 更新:2017年03月25日

昨年7月の記事「秋に国民投票を実施」でまとめた国民投票の結果を簡単にまとめておきます。

レンツィ前政権の命運をかけて行われた国民投票に付されたのは、以下のたったひとつの質問でした。

(試訳)「対等二院制の克服、議員定数の削減、諸制度の運営費用抑制、CNELの廃止及び憲法第2部第5章の見直しのための諸規定」を内容とする憲法改正案に賛成しますか?
憲法改正法案全文はこちら: www.gazzettaufficiale.it

すでに周知のように国民投票の結果は改革案の否決でした。

出典:伊内務省ホームページ

改革案を認めない「いいえ」の票が全体の59.12%で、「はい」の40.88%を大きく上回りました。投票率は65.47%で、2013年2月24日の総選挙の投票率75.1%こそ下回りまししたが、国民の関心の高さかを示しているといえます。

なお、今回の国民投票には定足数がありません。伊憲法第75条には法律廃止の是非を問う国民投票(referendum abrogativo)についての規定があり、同条で有権者の過半数が投票することを国民投票成立の要件のひとつとしています。近年しばしば投票数が定足数に達しなかったために国民投票そのものが無効になっています。しかし、今回の憲法改正の是非を問う国民投票(referendum costituzionale)は、憲法改正手続を規定する伊憲法第138条を根拠としているためその要件は適用されません。

参考:
伊内務省ホームページ www1.interno.gov.it
国民投票法 www.normattiva.it
Il Sole 24 Ore www.ilsole24ore.com

国民投票で否定された結果、膨大な時間とコストをかけて議会を通過させた改革案は水泡に帰しました。目玉だった上院改革も、憲法から「県」に関する文言を削除する憲法改正手続もいったんご破算になりました。

地域別投票結果

県ごとの投票結果は以下のようでした。グリーンの地域が「はい」が多かった地域、オレンジから赤の地域が「いいえ」が多かった地域です。



出典:www.repubblica.it

賛成票が反対票を上回ったのはレンツィ首相(当時)の地元のトスカーナ州(州都フィレンツェ)の一部と、その北隣りの伝統的に左翼が強いボローニャを中心とする地域、それに最北端のボルツァーノ県だけという惨敗でした。

4日夜、レンツィ首相は敗北を認め、辞任の意向を表明しました。


出典:www.independent.co.uk

 

要人コメント

サルヴィーニ北部同盟代表
「(懸案の)選挙法はどれでもかまわないので、できるだけ早く総選挙を」
«Noi siamo pronti a votare il prima possibile con qualunque legge elettorale»

デ・マイオ下院副議長(5つ星運動)
「傲慢さから権力を失った。我々が政権に就く道は市民による投票のみ。ツイート政治の時代は終わった」。
«ha perso l’arroganza al potere. Noi al governo ci andiamo in un solo modo: con il voto dei cittadini. È finita l’epoca del governo dei tweet».

スペランツァ下院議員(民主党少数派)※のち離党。国民投票では反対にまわる
「喜びと満足がある」「彼(レンツィ)は誤って国民投票を私物化した」
«C’è gioia e soddisfazione,… lui sbagliando ha personalizzato il referendum».

出典:www.corriere.it
参考:www.napolitoday.it

シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相
「悪夢は終わった。投票は民主主義と現体制との間に大きな隔たりがあることを示した」
«È la fine di un incubo. Il voto ha segnato lo spartiacque tra democrazia e regime».
出典:www.corriere.it

 

レンツィ政権の敗因

パルマの地方紙「ガゼッタ・ディ・パルマ」は社説で4つの敗因を並べました。
1. レッタ前首相との間に遺恨を残す形で政権に就いた
2. 友達たちで内閣をつくった
3. 横柄な態度が市民の反発を招いた
4. 改革を急ぎすぎた
出典:www.gazzettadiparma.it

また全国紙「コリエッレ・デラ・セーラ」は以下の点を指摘しています。
・2014年の欧州議会選での大勝から自らを過信し、社会の不満を低く見ていた。
・景気対策の効果が目に見える形で現れなかった。
出典:www.corriere.it

12月12日には、次のジェンティローニ政権が成立しました。
次回は新内閣についてまとめたいと思います。

参考ページ:
日経:イタリア首相が辞意 国民投票で改憲否決
日経ビジネス:イタリア国民投票は「No」、かすむEUの未来
東洋経済ONLINE:イタリア国民投票「否決」は何をもたらすのか